水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
原著論文
資源低水準期における相模湾および相模灘で漁獲されるマアジの成熟特性
髙村 正造 鈴木 勇己荻原 真我古市 生渡邊 千夏子
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 84 巻 2 号 p. 79-88

詳細
抄録

相模湾および相模灘海域で漁獲されたマアジについて,雌雄の生殖腺の組織学的観察や生殖腺重量指数(GSI)に基づいて,性成熟や産卵期などを調べた.GSIの月別変化から,雌雄ともに3–9月にGSIの高い個体が出現し,雄は5月,雌は6月にGSI平均値が最大となった.生殖腺の組織学的観察結果から,雄では精子で充たされた精巣を持つ個体が3–7月に,雌では胚胞(核)移動期および成熟(吸水)期の卵を持つ個体が4–7月にそれぞれ出現した.当該海域における最小成熟年齢は,雄では0歳,雌では1歳であるとともに,雄では11歳,雌では23歳の成熟個体も認められた.半数成熟尾叉長は雄では188.2 mm,雌では230.6 mmであり,雄は雌よりも小型・若齢で成熟することが示唆された.年齢とGSIの関係から,高齢魚ではGSIが低下する傾向が認められたが,当該海域の本種は初回成熟・産卵後から10年以上に渡って産卵に寄与し続けていると考えられた.

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 水産海洋学会
前の記事 次の記事
feedback
Top