播磨灘ではイカナゴ漁獲量の減少要因として,餌不足の可能性が指摘されている.本研究では1987年から2018年の3月に播磨灘で採集されたイカナゴ当歳魚の胃内容物重量指数(SCI),肥満度および胃内容物組成の経年変化を調べた.SCIは1987年から1997年に低下し,2001年以降は1%未満の低い値で推移した.肥満度は2001年以降,経年的に低下した.しかし,調査期間を通してイカナゴの主な餌生物はカイアシ類のCalanus sinicusとParacalanus sp.であり,その構成比に経年的な変化はなかった.一方,1月の溶存態無機窒素濃度と2–3月のクロロフィルa濃度は有意な正の相関を示し,後者が高いほどSCIは高い傾向にあった.これらの結果より,近年では栄養塩濃度の低下に伴い春季の基礎生産が低下した結果,動物プランクトン生産も低下し,イカナゴ当歳魚が慢性的な餌不足に陥っていると推察された.