水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
原著論文
播磨灘におけるイカナゴ当歳魚の胃内容物重量指数の経年的低下とその要因
橋口 晴穂 西川 哲也魚住 香織古澤 一思森 敦史今尾 和正反田 實
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2021 年 85 巻 1 号 p. 24-32

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抄録

播磨灘ではイカナゴ漁獲量の減少要因として,餌不足の可能性が指摘されている.本研究では1987年から2018年の3月に播磨灘で採集されたイカナゴ当歳魚の胃内容物重量指数(SCI),肥満度および胃内容物組成の経年変化を調べた.SCIは1987年から1997年に低下し,2001年以降は1%未満の低い値で推移した.肥満度は2001年以降,経年的に低下した.しかし,調査期間を通してイカナゴの主な餌生物はカイアシ類のCalanus sinicusParacalanus sp.であり,その構成比に経年的な変化はなかった.一方,1月の溶存態無機窒素濃度と2–3月のクロロフィルa濃度は有意な正の相関を示し,後者が高いほどSCIは高い傾向にあった.これらの結果より,近年では栄養塩濃度の低下に伴い春季の基礎生産が低下した結果,動物プランクトン生産も低下し,イカナゴ当歳魚が慢性的な餌不足に陥っていると推察された.

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© 2021 一般社団法人 水産海洋学会
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