2022 年 86 巻 3 号 p. 123-131
2011年から2014年に,太平洋側の宇和海,紀伊水道,熊野灘,相模湾および常磐・房総海域の5海域で採取されたマアジについて,耳石横断面観察による年齢査定を行った.海域別のvon Bertalanffy成長曲線から各年齢の尾叉長を推定し,海域間で成長を比較した.宇和海では,各年齢の尾叉長は他の海域に比べ大きく,常磐・房総海域では他の海域より小さく,紀伊水道,熊野灘および相模湾では両海域の中間と,成長に海域差が認められた.いずれの海域でも1–3歳魚の割合が高かった.宇和海では9歳以上の個体はみられなかった一方,相模湾および常磐・房総海域では15歳以上の高齢個体がみられた.水温が18°C以下となる期間が長い海域ほど成長は遅い傾向が認められた.