マイワシ太平洋系群の成長は,2010年代の資源回復に伴い遅くなった.先行論文では,2010年代には1970–1980年代の高資源水準期より強い密度効果が認められ,索餌域(親潮・黒潮親潮移行域)の7月の動物プランクトン現存量の低下が原因とされたが,索餌域の面積は検討されなかった.また,2014/15年にはレジームシフト(RS)が生じたとされる.そこで,本研究では2003–2020年における本系群の年齢別の年間体重増加量の経年変動要因を探るため,資源量,加入量,親潮面積,南北索餌域の基礎生産力を説明変数として一般化線形モデルなどによる解析を行った.その結果,①RS後に親潮面積が縮小するとともに,親潮域と移行域の表面水温が冬季を中心に昇温し,基礎生産力は北部索餌域で増加したのに対し南部索餌域で減少したこと,②近年の成長遅延の主因として0歳魚は資源量増加,1–3歳魚は親潮面積の縮小が示唆された.