2025 年 89 巻 4 号 p. 240-250
大阪湾における底生魚類群集構造とその変動要因を明らかにすることを目的に,2014年から2016年の2, 5, 8, 11月に大阪湾内の20定点において小型底びき網(石げた網)による採集調査を実施した.各定点における魚種組成を基にクラスター分析した結果,定点は5グループに区分され,湾東部から湾西南部にかけて漸次的に魚種組成が変化していた.最も湾東部のグループでは個体数密度と溶存酸素量との間に正の相関,水温および酸揮発性硫化物との間に負の相関がみられた.湾西南部のグループでは個体数密度の変化に季節性や環境要因との関係がみられなかった.1990年代に同様の方法で実施した調査結果と比較すると,優占種の構成種はほぼ同じであったが,構成比には変化がみられ,1990年代に採集されたにもかかわらず,2010年代にはほとんど採集されなかった魚種もみられた.内湾域の底生魚類群集は底質環境に適応して構成されていると考えられる.