水産海洋研究
Online ISSN : 2435-2888
Print ISSN : 0916-1562
原著
伊勢湾における生態系構造と生物生産力の変化
曽根 亮太 日比野 学
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2025 年 89 巻 4 号 p. 227-239

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抄録

伊勢湾における1970–2020年の漁獲資料から平均栄養段階(MTL)と多様度指数(H′)により生態系構造を把握した.また,各水産資源の生物特性を考慮した生物生産力を漁業生物生産指数(FPI)として用い,これらの変動要因として基礎生産力と水温を検討した.総漁獲量は長期的に減少し,2010年頃からシャコやマアナゴ等の減少とマダイやヒラメ等の増加により漁獲物組成が変化した.H′に傾向は見られなかったが,MTLは長期的に上昇し,FPIは2014年頃から低下した.相関分析よりMTLとFPIには基礎生産の指標とした全リン(TP)の減少,MTLには水温上昇も含めた影響が示唆された.FPIを応答変数としたGLMでは1年前と3年前のTPが説明変数として選択された.近年ではボトムアップ効果により内湾依存種の減少と餌料環境の変化から大型魚類の分布域が変化し,生態系構造が変化していると考えられた.また,生産効率の高い種から低い種への転換により,伊勢湾の生物生産力は低下していると考えられた.

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