2021 年 56 巻 1 号 p. 30-33
天然海域で採捕されたマサバの稚魚を2016年6月26日から福井県水産試験場栽培漁業センターの水槽内で飼育していたところ,眼球の突出や脱落などの症状を呈する個体が多発し,死亡が確認され始めた。ハダムシは寄生しておらず,眼球以外には飼育魚の外観に異常は見られなかった。VNN検査は陰性で,ウィルスも分離されなかったが,眼球内からビブリオ属の細菌が分離された。活魚車での輸送と水槽間での移送の直後に死亡が増加したことから,これらのハンドリング作業と眼球の異常の関連が疑われた。眼球以外に目立った外傷が無いことと高水温期に発生したことが養殖カンパチで発生が知られている眼球炎の状況と酷似しており,ハンドリング作業によってマサバの眼球に生じた外傷が感染門戸となって細菌が眼球内に侵入し,眼球炎が生じたと推測された。