2021 年 56 巻 1 号 p. 26-29
催熟中のウナギAnguilla japonicaが皮膚および鰭の潰瘍を伴い死亡した。病理組織検査で病変部には顕著な炎症と細菌の集塊が観察された。病魚の腎臓から非定型A. salmonicidaが分離され,その性状は既報のウナギおよびキンギョの分離菌株に類似していたが,褐色色素産生,3%NaCl下での増殖、リジンデカルボキシラーゼ,VP反応,ゼラチン加水分解またはマンニトール分解能のいずれかが異なっていた。分離菌株のウナギに対するLD50 は 5.6 × 100 CFU/fishであった。ウナギの非定型A. salmonicida感染症は低水温およびストレス下で発生することが知られているため,ウナギの催熟過程では本疾病の発生に注意が必要であると考えられた。