魚病研究
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閉鎖循環方式で飼育されたヒラメに発生したネオヘテロボツリウム症の治療事例
古田 岳志 柴田 敏宏石沢 昇山中 和夫
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2025 年 60 巻 3 号 p. 166-169

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抄録

水温約18°Cの閉鎖循環方式で飼育されたヒラメParalichthys olivaceusにおいて,単生類Neoheterobothrium hirameの寄生によるネオヘテロボツリウム症が発生した。既存の知見を参考に,塩水浴(食塩 3~8%添加海水・5~60分間浸漬)を複数回実施したが,高い塩濃度では塩水浴後に一部のヒラメが死亡した一方で,低い塩濃度ではN. hirame成体の駆除は困難であり,寄生が再発した。そこで,食塩 8%および 2-フェノキシエタノール 400 mg/Lを添加した海水にヒラメを5分間浸漬するとともに,麻酔後のヒラメの口腔内からN. hirame成体を除去する処理を,処理日数の間隔を変えて複数回実施した。処理間隔を36日間以上とした場合は寄生が再発したものの,22日間とした場合には,処理から約15カ月間後の飼育終了まで,ヒラメおよび飼育装置内からN. hirameは確認されなくなった。

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© 2025 日本魚病学会
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