1982 年 17 巻 3 号 p. 187-194
1. 浜名湖産アサリに寄生するメタセルカリア2種,Parvatrema duboisiとProctoeces sp.の形態と寄生状況を調べた。2. P. duboisi:形態的特徴はENDO and HOSHINA(1974)の記載に一致した。消化管内,排泄嚢内,体腔の顆粒を詳しく調べ,記載した。組織学的観察により,宿主の外套膜の上皮が虫体を包囲していること,虫体を核とした石灰沈着も認められることを明らかにした。検査したアサリ1765個体の平均寄生率は58.3%,平均寄生虫体は3.4個体であった。それらの季節的変化は特に認められなかった。寄生虫体数に対するアサリの個体数の頻度分布は負の二項分布に適合した。3. Proctoeces sp.:体長2.4~3.7mmの虫体が6個体採集された。本種はP.ostreaeに類似しているが,未成熟虫体なので同定を保留した。