抄録
ワクチン効果判定に用いる攻撃菌およびその攻撃試験方法について検討を行った。病アユより得られたVibrio anguillarum新鮮分離株を魚体中で継代保存することにより,菌の病原性が維持され,アユに対して一定のLD50を保つことができた。魚体通過株を使用すること,および菌浴攻撃前に5.32%食塩溶液中に浸せきすることにより常にV.anguillarumの感染が成立した。さらに,感染魚の症状は自然感染に近い症状を呈した。V.anguillarumのホルマリン死菌凍結乾燥ワクチンを含む5.32%の食塩溶液で浸せき免疫を行ったアユをLD50の10倍あるいは100倍の2段階の菌液濃度で上述の高張液攻撃試験を実施した。ワクチン魚と非ワクチン魚との間に明らかに斃死率に差が認められ,ワクチン魚は高い防御免疫能を示した。