魚病研究
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18 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 山本 淳, 若林 久嗣
    1983 年 18 巻 3 号 p. 117-124
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     急激な水温の低下がニホンウナギの腸内フローラならびに経口的に投与されたAeromonas hydrophilaの強毒菌株の腸管内における動向に及ぼす影響について検討した。低温処置1~2日後に,Streptococcusの増加,Aeromonasの減少が起こったが,3~4日後,両者の関係は逆転しAeromonasの増加,Streptococcusの減少が観察された。低温処置によって投与したA.hydrophila A10の腸管内滞在時間が延長されることが観察された。これらの現象は低温処置によって変化した魚体の生理機能が腸内フローラに変化を起こさせた結果であると推察された。
  • 志村 茂, 工藤 真弘
    1983 年 18 巻 3 号 p. 125-133
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     八丈島産のニシキウズ科巻貝のギンタカハマ,ウズイチモンジ,ヒメクボガイから2種類のセルカリアを検出し,新種と認めて,Cercaria hachijoensisとCercaria rhipidocaudataと命名記載した。前者は上記の3種の巻貝から得られた。切株状の尾を有する短尾セルカリアで,口吸盤内に単純な1尖頭の穿刺棘がある。腸管は長く,腹吸盤後端に達する。侵入腺細胞は5対である。排泄嚢は鈍三角形で,炎細胞式は2[(2+2)+(2+2)]=16である。セルカリアはスポロシスト内で発育する。後者はウズイチモンジから得られた。本種は3対の突起を備えた扇状の尾を有するのが特徴である。口吸盤内に1尖頭で肩の張つた2本の穿刺棘を備える。排泄嚢は棒状で,炎細胞式は2[(2+2)+(2+2)]=16である。セルカリアはレディア内で発育する。
  • Fulvio SALATI, 川合 研児, 楠田 理一
    1983 年 18 巻 3 号 p. 135-141
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     Edwardsiella tardaのリポ多糖,培養炉液およびホルマリン死菌の各抗原を筋肉内接種して免疫したウナギについて,血清の抗体価を測定し,さらに生菌攻撃に対する免疫効果を調べた。その結果,各抗原で免疫したウナギ血清では,いずれの抗原に対しても抗体価が上昇したが,これにはゲル内沈降反応で確認された共通抗原が関与するものと考えられた。攻撃後の生残率はリポ多糖免疫群で特に高く,感染防御にはリポ多糖が重要な役割を果しているものと考えられた。いっぽう,ホルマリン死菌に対する生残魚血清の凝集抗体価と生残率との間に関連性が認められなかったことから,ホルマリン死菌の凝集反応は免疫度の指標には不適当であると思われた。
  • 河野 勝彦, 青木 宙, 北尾 忠利
    1983 年 18 巻 3 号 p. 143-149
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     ワクチン効果判定に用いる攻撃菌およびその攻撃試験方法について検討を行った。病アユより得られたVibrio anguillarum新鮮分離株を魚体中で継代保存することにより,菌の病原性が維持され,アユに対して一定のLD50を保つことができた。魚体通過株を使用すること,および菌浴攻撃前に5.32%食塩溶液中に浸せきすることにより常にV.anguillarumの感染が成立した。さらに,感染魚の症状は自然感染に近い症状を呈した。V.anguillarumのホルマリン死菌凍結乾燥ワクチンを含む5.32%の食塩溶液で浸せき免疫を行ったアユをLD50の10倍あるいは100倍の2段階の菌液濃度で上述の高張液攻撃試験を実施した。ワクチン魚と非ワクチン魚との間に明らかに斃死率に差が認められ,ワクチン魚は高い防御免疫能を示した。
  • 志村 茂
    1983 年 18 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     寄生性甲殻類,チョウモドキとチョウの口器の吻管と刺針の形態を走査電顕で調べた。吻は管状であり,末端部に口が開き,上唇と下唇に囲まれている。上唇が平滑であるのに対し,下唇は雛状で多数の櫛状突起を備える。口縁に7対前後のbuccal foldがあり,口の周辺には感覚器と思われる突起が数対認められた。口腔内に大顎があり,その内縁は櫛状であり,外縁に2尖頭の突起を備える。口腔内の開口部近くに円錐状に突出した腺の開口が観察された。刺針の先端は小球状で開口していない。しかし先端近くの腹側に腺の開口部が,同背側に感覚器(?)の小孔が認められた。チョウモドキの成体と幼体との相違がbuccal foldと吻管上の1対の棘の形態に認められた。口器の形態に,チョウモドキ・チョウ両種間の相違はほとんどみられなかった。
  • 志村 茂, 井上 潔, 河西 一彦, 斉藤 実
    1983 年 18 巻 3 号 p. 157-162
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1.ヤマメ1年魚にチョウモドキを寄生させて,24時間後と10日後に宿主の血液性状の変化を調べた。2. 24時間後の寄生魚に血糖量の増加が認められ,寄生によるストレスの影響と推察された。3. 10日後の寄生魚に赤血球数,血色素量,血漿総蛋白量,総コレステロール量,カルシウム量の減少およびヘマトクリット値の低下が認められた。これらの変化は寄生虫による吸血あるいは寄生による宿主体表からの出血によるものと推察された。
  • 江草 周三, 塩満 捷夫
    1983 年 18 巻 3 号 p. 163-171
    発行日: 1983/12/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
    Two new species of the genus Kudoa (Myxosporea: Multivalvulida) were described; Kudoa iwatai sp. n. from the lateral musculature of Pagrus major and Oplegnathus punctatus and K. shiomitsui sp. n. from the pericardial cavity and ventricle of Takifugu rubripes. Both were discovered from fishes cultured at farms on the coast of Kyushu, Japan. Spores of both species were differentiated from other members of the genus Kudoa on the basis of a through recording of their shape, structure and dimentions by means of the light microscope and scanning electron microscope.
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