2015 年 71 巻 2 号 p. I_147-I_152
車や航空機などに代表される交通安全の分野では,事故を回避するための教育として,事故に結び付くシナリオを想定したCGやシミュレータを用いた危険予知訓練が積極的に実施されている.このように危険への感受性を向上させるための教育は,疑似体験が効果的とされている.そこで本研究では,過去発生した気象災害発生前後の一連の降雨パターンを拡張現実感によって再現できるシミュレータを開発した.さらに,開発したシミュレータにより災害時の降雨を視聴すると同時に,実際に被害が発生したタイミングと被害状況を対応させていくことにより,より早い段階での避難行動がとれるような防災教育の仕組みを提案した.さらに,高槻市主催の防災訓練において,市民を対象に提案した防災教育の仕組みを実践し,危険への感受性と避難行動の関係を,人間認知信頼性モデル(HCR;Human Cognitive Reliability)を用いて検証した.