魚病研究
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真菌性肉芽腫症起病真菌に関する研究―IV
人為感染および自然感染アユの血液性状
畑井 喜司雄高橋 誓江草 周三
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1984 年 19 巻 1 号 p. 17-23

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抄録
 1. 養殖アユに真菌性肉芽腫症原因菌,Aphanomyces piscicida SA 7610を人為感染させた後,感染魚の血液性状の変動を経時的に測定し,対照魚のそれと比較した。2. 感染部位は1週間後に発赤が生じ,3週間後には潰瘍化を呈する個体も出現し,重篤な症状を発現してへい死した。感染魚は腎臓および脾臓が有意に腫大したが,肝臓には変化がみられなかった。3. 感染早期の血液変化の特徴はTChの減少およびGPTの顕著な増加であった。3週間後に感染魚と対照魚間で有意差のみられた項目は検討した16性状中,赤血球数,Hb, TCh, Alb, GPT, GOT, LAP, Al-P, Bil,TTTの10項目であった。4. 自然発症池から採捕したアユは無症魚および有症魚とに分け,前者はさらに患部形成位置により3群に類別し,健康魚の血液性状と比較した。5. 検査した10項目中,有症魚と無症魚間の有意差はHb, TCh, Bil, LDH, Al-P, LAP, GOT, GPTでみられ,TP, BUNではみられなかった。また無症魚と健康魚間の有意差はBil, LDH, Al-Pでみられた。
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© 日本魚病学会
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