抄録
本実験期間中, 実験群水槽の水源に位置する予備水槽中で飼育中のキンギョにカラムナリス病の自然発生があり, その後実験群中の非投薬対照群に本症の発症が認められ約半数が斃死した。しかし対照群と同一条件下で飼育していた P-7138投与群では本症の発生は認められず, 実験終了時0.02%投与群で, 98%, 0.002%投与群で90%が生存した。カラムナリス病の発症及び感染機序については未だ充分には明らかにされていないが, 水源に位置する予備飼育水槽中に先ず発症し, 次いで実験群の非投薬対照群に同様の症状による発症が認められたこと, 及び投薬群は非投薬対照群と同一水源により同じ条件下に飼育されていたことから投薬群にも同様に感染の機会があったものと考えられる。又今回の自然発生例に対し本薬剤は低濃度の薬浴で有効性を示すことを認めた。しかし投餌後水中の P-7138の量は定量限界以下(<0.01mcg/ml)であり水中への溶出による結果とは考えられず, 従って本薬剤はカラムナリス病の侵襲に対し経口予防効果を示したものと思われる。