抄録
海産魚介類の種苗生産過程において種々の病害問題が発生している。本論文ではわが国における海産魚介類の仔稚に発生するウイルス性および細菌性疾病に関するこれまでの知見を整理した。ウイルス病としてはウイルス性表皮増生症, ウイルス性腹水症, ウイルス性神経壊死症(VNN)などが知られ, VNN に対しては PCR に基づく親魚選別が垂直感染の防止策として有効であることが報告されている。細菌病としては, 仔魚期の Vibrio 属細菌による腸管感染が重要であり, 稚魚期にはビブリオ病, パスツレラ症および滑走細菌症などが発生する。