魚病研究
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養殖ウナギの腹水症―I
病理組織学的研究
舟橋 紀男宮崎 照雄窪田 三朗
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1973 年 8 巻 1 号 p. 68-77

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抄録
 三重県津市白塚町のコンクリート製養鰻池で飼育中のウナギに発症した腹水症9例について,主に病理組織学的に検索したところ下記の結果が得られた。1. 平均体長23.9±3.8ccの養殖ウナギに淡緑青色から淡青色の液状ないしゼリー状の漿液性の液が平均腹腔に貯留していた。2. 病理組織学的には,a)高度のネフローゼならびに腎の間質における高度の造血能減退, b)脾の赤髄の高度の萎縮と被膜の漿膜細胞の増生,c)慢性鰓炎ならびに心内膜炎と心筋変性。 d)肝および消化管のうっ血水腫。3. 上記の項目について考察した結果,本病は腎性水腫と再生不良性貧血を起していた。したがって,我々は本症に対して腹水性再生不良性貧血症と名命することを提唱した。
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