魚病研究
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キンギョの穴あき病に関する研究―II
患部の進行および治癒状況の観察
斉藤 実中村 多恵子高橋 耿之介
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1975 年 9 巻 2 号 p. 179-186

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抄録

 1) 穴あき病の感染発病から,患部が拡大し,さらに治癒するまでの過程を肉眼観察により追究した。 2) 穴あき病の進行をその症状から初期,中期,終期の三期にわけた。初期はほぼ鱗一枚の範囲の表皮の,白濁壊死および軽度の充血までで,中期は真皮の壊死および鱗の脱落まで,終期は真皮が剥離して筋肉の露出した病期以降とした。 3) 水温が20℃の場合,感染してから穴があき筋肉が露出するまでの日数は10~15日であった。 4) 患部の治癒は,一般に表皮の壊死の進行の終止,真皮・筋肉の壊死剥離の終止,露出した筋肉表面が光沢をもって滑らかになる,グアニンの形成,真皮の形成,オレンジ色の色素細胞の形成,表皮の形成の順序で進んでいく。 5) 水温28℃で患部が完全にふさがるまでに10~20日を要した。 6) 穴あき病がどのような疾病であるかを論議した。日本ではいままでにみられなかった疾病で,1971年から現在までひきつづき発生しているものは,エピィスティリスおよび真菌類が原因生物として作用しているものではないと判断した。

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© 日本魚病学会
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