家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
解説
家族性腫瘍としての子宮体癌 −さまざまな症候群との関連−
阪埜 浩司 矢野倉 恵増田 健太木須 伊織植木 有紗小林 佑介山上 亘進 伸幸青木 大輔
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 12 巻 2 号 p. 57-59

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抄録
遺伝性疾患であるLynch 症候群(別名,遺伝性非ポリポーシス大腸癌: Hereditary Non-polyposis ColorectalCancer: HNPCC)やCowden 症候群(CS),Peutz-Jeghers 症候群(PJS)の患者は,子宮体癌に罹患するリスクが一般集団に比べて高いことが知られている.遺伝性子宮体癌の発癌機構を理解することは,散発性子宮体癌の発癌機構や特徴を理解する上でも重要な知見となる.これらの疾患の中でも,Lynch 症候群の女性が生涯で子宮体癌に罹患するリスクは40 〜60%と高く,重要である.Lynch 症候群の臨床的診断基準として改訂アムステルダム診断基準(AC Ⅱ)が用いられているが,基準を満たさないLynch 症候群関連子宮体癌(隠れLynch 症候群)が存在することも報告されており,若年発症・重複癌などの遺伝性素因を疑う症例では,家族歴聴取のみならず遺伝子検査も考慮する必要がある.
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© 2012 The Japanese Society for Familial Tumors
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