家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:家族性大腸腺腫症の最先端
家族性大腸腺腫症における大腸切除術後の残存腸管に発生する腺腫および腺癌に関する検討
田近 正洋 丹羽 康正近藤 真也田中 努水野 伸匡原 和生肱岡 範今岡 大永塩 美邦長谷川 俊之大林 友彦品川 秋秀関根 匡成坂口 将文吉澤 尚彦石原 健二山雄 健次
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2013 年 13 巻 1 号 p. 17-22

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抄録
【目的】家族性大腸腺腫症(FAP)は,予防的大腸切除術が行われるようになり死亡率は低下した.しかし近年,大腸全摘術後に造設された回腸pouch への腺腫の再発や癌化例が報告されるようになり,新たな問題となっている.今回,回腸pouch への腺腫および癌の発生について検討した.【方法】対象は当院で内視鏡的に経過観察を行えたFAP 患者28 家系40 症例.手術の内訳は,大腸全摘・回腸嚢造設術(Kock): 8 例,結腸全摘・回腸直腸吻合術(IRA):8 例,大腸全摘・回腸嚢肛門管吻合術(IPAA):24 例.内視鏡検査は原則6 〜12 か月間隔で行い,KockとIPAA をpouch 群とし,pouch を有さないIRA 群と臨床所見を比較検討した.【結果】観察期間は中央値で17.7年,経過中pouch 群で4 例が死亡した.直腸への腺腫の再発はIRA で8 例全例に認めた.回腸への腺腫はpouch群で20 例(62.5 %)とIRA 群の0 例に対し有意に多く発生した(P < 0.01).また,癌をpouch 内に3 例認めた.pouch 群およびIRA 群の累積腺腫発生率はそれぞれ5 年: 10 %,10 年: 45 %,20 年: 90%と5 年:50 %,10 年: 75 %,20 年: 100%で,IRA 群で高かった(P < 0.05).【結論】大腸全摘後の回腸pouch には,IRA での直腸と同様に高頻度に腺腫,さらには癌の発生を認めるため,術式にかかわらず術後の内視鏡を用いた下部消化管のサーベイランスは不可欠である.
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© 2013 The Japanese Society for Familial Tumors
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