家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:家族性大腸腺腫症の最先端
家族性大腸腺腫症における十二指腸病変の検討
谷内田 達夫野中 哲 中島 健中村 佳子鈴木 晴久吉永 繁髙小田 一郎山本 聖一郎藤田 伸赤須 孝之斎藤 豊
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2013 年 13 巻 1 号 p. 10-16

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抄録
[目的]十二指腸癌は,大腸癌以外のFAP の主要な死因であるとされており,当院のFAP における十二指腸病変に対する現況を検討した.[方法]1997 年以降に上部消化管内視鏡検査(EGD)が施行されているFAP 80 例を対象に,患者背景,十二指腸病変の内視鏡診断,治療方法,長期経過を検討した.[結果]十二指腸腺腫(乳頭部除く)は51%(41 例),十二指腸癌は6%(5 例)に認められ全例腺腫を合併していた. 十二指腸腺腫は88% (36 例)で経過観察され,11%(4 例)にEMR が施行され,1 例は癌,腺腫の同時多発例で手術が施行された.経過観察例の8%(3/36)はのちに十二指腸癌が検出された.十二指腸癌5 例のうち,2 例はEMR にて一括切除が施行された.1 例は手術が施行され,2 例は患者事情により経過観察された.十二指腸病変を有する症例のうち2 例で死亡がみられたが十二指腸癌による死亡はなかった(観察期間中央値9.0 年).Spigelman の分類ごとでは経過観察中のIV 期の症例8 例のうち4 例でのちに癌の検出がみられた.[結論]十二指腸病変による死亡は認められず,予後は良好であった.またSpigelman の分類の有効性が示唆された.
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© 2013 The Japanese Society for Familial Tumors
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