家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集:家族性大腸腫瘍(家族性大腸腺腫症とリンチ症候群)
MLH1 epimutationの現状
宮倉 安幸安田 是和菅野 康吉
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 14 巻 2 号 p. 29-34

詳細
抄録
MLH1 epimutation は,生殖細胞系列にMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化を認め,若年のうちに大腸癌をはじめとするリンチ症候群関連腫瘍を多発する非常に稀な症候群である.世代を越えての継承を認めるgermlineepimutation と認めないconstitutional epimutation に分類され,多くは後者に属する.MLH1 epimutation の大腸癌の多くは右側大腸に発生し,片側アレルのMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化と正常アレルの欠失によりMLH1 の発現が消失しMSI-H を示す.スクリーニングでは,改訂ベテスダガイドラインとMSI 検査が重要であり,MSI-H の患者に対してはMMR 遺伝子の胚細胞変異を検索し,変異が認めない症例には,血液,癌組織のMLH1 遺伝子のプロモーター領域のメチル化の検索を行う必要がある.サーベイランスでは,リンチ症候群関連腫瘍のサーベーランスプログラムに従い異時性癌の発生に注意が必要である.
著者関連情報
© 2014 The Japanese Society for Familial Tumors
前の記事 次の記事
feedback
Top