家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
臨床経験
一般病院における家族性腫瘍相談外来とハイリスク外来の開設
− 一般病院に求められる家族性腫瘍診療の意義についての考察 −
植木 有紗 中田 さくら安齋 純子麻薙 美香嶋田 恭輔久保内 光一三須 久美子平沢 晃阪埜 浩司菅野 康吉小崎 健次郎青木 大輔
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 16 巻 2 号 p. 38-43

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抄録
本邦における家族性腫瘍の遺伝カウンセリング体制は近年急速に整備されつつあるが,その多くは大学病院やセンター病院といった大規模病院である.今回我々は,地域がん診療連携拠点病院における家族性腫瘍相談外来開設の経験をもとに,一般市中病院での遺伝カウンセリング体制の課題などについて当院での現状を紹介し,考察する.  依頼元の内訳は乳腺外科からの受診相談が約30%にのぼり,さらに遺伝学的検査の内訳で見ると43%が乳癌の術前依頼であり,受診動機として癌罹患者の術式選択が大きな要因になっていることが示唆された.また,受診された遺伝子変異保持者および血縁者を対象にハイリスク外来を同時に開設し,心理的支援とサーベイランスを継続している.今後もクライエントのために,一般市中病院の立場で家族性腫瘍に関する正しい情報提供およびサーベイランスや,診断後の治療を含む実地診療との密な協力体制の構築を目標に,よりクライエント中心型のカウンセリング体制の整備が必要と考える.
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© 2016 The Japanese Society for Familial Tumors
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