家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集 : 家族性腫瘍の若年者診断の倫理的問題
家族性大腸腺腫症における若年者診断の問題点
石川 秀樹 佐伯 智子那須 綾子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2004 年 4 巻 1 号 p. 10-12

詳細
抄録
家族性大腸腺腫症における成人と若年者の発症前APC 遺伝子変異保有者診断について,そのメリットとデメリットを述べた.成人における遺伝子診断の主なメリットは,大腸内視鏡検査などの精神的・肉体的に負担の多い検査をすることなく,家族性大腸腺腫症の体質を持っているかどうかを知ることができることである.しかし,若年者における遺伝子診断の医学的なメリットは少なく,デメリットとして自己決定権の侵害,検査や医師に対する心の傷,生命保険等への加入の問題,養育を受ける権利の侵害等がある.これらのことより,家族性大腸腺腫症では若年者への遺伝子診断は,実施するとしても十分な両親への遺伝子診断前カウンセリングが必須である.
著者関連情報
© 2004 The Japanese Society for Familial Tumors
前の記事 次の記事
feedback
Top