抄録
小児の遺伝学的検査は,先天性遺伝性疾患に対する確定診断を目的に行われることが多い.しかし,疾患によっては小児の保因者診断,発症前診断を行うことも可能である.また,小児の遺伝学的検査の結果をもとにして発症していない家族やクライアントについての保因者診断,発症前診断,または次子の出生前診断などが可能となる.このような問題に関して,遺伝医療に従事する者は小児の遺伝学的検査においては小児の被検者の利益の保護に立った立場から,検査適応の是非,年齢や理解度に応じた本人に対する遺伝カウンセリングやインフォームド・コンセント,自由意思の確認や自己決定の尊重をするよう心がけねばならない.さらには親による代諾の是非,代諾の場合における結果の本人への告知の時期・方法,診断結果の本人以外の家系内への影響の考慮についても慎重に配慮しなければならない.