家族性腫瘍
Online ISSN : 2189-6674
Print ISSN : 1346-1052
特集 2 : 遺伝カウンセリング
がんの遺伝外来における遺伝カウンセリングの協働的支援 −若年性甲状腺乳頭癌の症例を契機に発見された家族性大腸腺腫症家系の一例から−
角田 ますみ 鈴木 眞一藤田 正太郎権田 憲士中野 恵一旭 修司福島 俊彦野水 整荒川 唱子竹之下 誠一
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 7 巻 1 号 p. 20-26

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抄録
家族性大腸腺腫症(FAP)は,がん化する可能性が極めて高い遺伝性疾患であり,時に甲状腺乳頭癌を発症し,篩状型乳頭癌(cribriform morular variant of papillary thyroid carcinoma ; CMVPTC)を呈することがある.今回は子の若年者CMVPTC を契機に発見されたFAP 患者の事例をもとに,遺伝カウンセリングのプロセスを通して,患者がたどった経過や抱えていた問題を帰納的に分析することで,チームアプローチによる遺伝カウンセリングの重要性が明らかになった.家族性であるがゆえに複雑に絡みあう患者の問題に対し,遺伝外来担当医と看護職によるカウンセラーの協働的支援体制のアプローチは,遺伝子診断の意思決定から,その後の予防・早期発見にむけての身体的・精神的支援体制が整うことは,患者の今後のQOL 維持に大きく貢献すると考えられる.
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© 2007 The Japanese Society for Familial Tumors
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