抄録
コムギを利用したダイズのリビングマルチ栽培による除草必要期間の短縮効果を,イヌホオズキ,イヌビエ,オオイヌタデ,スベリヒユの4草種において検討した.リビングマルチ栽培は全ての雑草で,草丈または最長茎長の伸長速度を顕著に抑制した.地表面の相対照度が10%以下となる日をダイズの標準期播栽培C区で7月30日,その他の試験区で8月5日とし,その時点での草丈の上限を350mmとして,草丈の伸長速度から除草必要期間を推定した.その結果,リビングマルチ栽培の除草必要期間は慣行栽培よりも,イヌビエで約15日,オオイヌタデで約20日短縮された.同様の方法でイヌホオズキの除草必要期間を求めると,リビングマルチ栽培の除草必要期間は慣行栽培よりも約35日短縮されると計算された.しかし,雑草の生育量と汚粒源となる果実生産の抑制効果から除草必要期間を検証すると,この結果は過大であった.実際のイヌホオズキの除草必要期間は,機械収穫時のダイズの汚損粒などを考慮すると,リビングマルチ栽培によって20日程度短縮されると考えられた.また,スベリヒユの生育はリビングマルチによってほぼ完全に抑えられた.これらの結果から,北海道におけるダイズのリビングマルチ栽培における除草必要期間はおおむね30日以内と考えられた.