農作業研究
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研究報文
引張試験機によるミニトマトおよび中玉トマトにおけるへた離れ性および果柄の離脱性の評価
樋口 洋子北條 怜子柘植 一希垣尾 尚史藤尾 拓也池浦 博美元木 悟
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2015 年 50 巻 3 号 p. 71-80

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抄録
ミニおよび中玉トマトの房どり収穫は,収穫作業の省力化と収穫果実の高付加価値化が期待できるため,房どり収穫法の検討や房どり収穫向き品種の選定および育成に関わる研究が行われている.トマトの房どり収穫適性に関わる主要形質としては,果実のへた離れ性と果柄の離脱性が挙げられる.このうち,へた離れ性は,加工用トマトでは報告されているものの,生食用トマトでは報告例がない.また,果柄の離脱性は過去に測定されていない.そこで本研究では,生食用トマトのへた離れ性および果柄の離脱性の測定を行うため,市販の生食用トマト数品種を材料とし,新たに開発した治具および既存の冶具を使って,卓上引張試験機(EZ-SX,島津製作所)の利用の可能性を検討した.続いて,実際に栽培した収穫直後の生食トマト5品種を材料とし,へた離れ性および果柄の離脱性を測定し,へたおよび果柄の付着力の品種間差異と果実形質との関係性を検討した.その結果,へたおよび果柄の付着力,へた痕および果柄の直径や面積などに,品種間差異が認められた.そのため,卓上引張試験機と新たに開発した治具および既存の治具を用い,へた離れ性および果柄の離脱性の品種間差異が評価できると考えられ,それらを房どり収穫向き品種の選定または育成に利用できる可能性が示唆された.
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© 2015 日本農作業学会
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