抄録
地下水位の制御が,春播き‘向陽2号’と夏播き‘はまべに五寸’ニンジンの生育に及ぼす影響を調査した.黒ボク土の露地圃場に幅70 cm,高さ12 cmの畝を立て,地下水位を制御して栽培した.地下水位の制御は,(1)播種直後から出芽まで地下水位を畝上面から–15 cmに維持する(播種直後),(2)‘播種直後’以降を–42 cmで維持する(高水位),(3)‘播種直後’以降を–52 cmで維持する(低水位),(4)‘播種直後’以降1ヶ月間–52 cmで維持する(低水位1ヶ月)および(5)無処理の方法で行った.その結果,出芽率は,春播きと夏播きともに無処理区よりも地下水位を制御した区で高かった.初期生育は,春播き夏播きともに播種直後区と無処理区より低水位区と高水位区で優れていた.春播き栽培において,収穫時の根重は,低水位区が無処理区よりも大きかった.高水位区は,土壌の気相率が低く湿害が発生した.また,低水位区は,大雨が降っても土壌水分の変動が小さいために,裂根の発生が少ないと考えられた.根形は,地下水位を制御しても生育後期が高温になると細長くなった.夏播き栽培においては,出芽後の1ヶ月間は地下水位を–52 cmで維持して,その後,降雨があった場合に無制御にすることで湿害を回避できると考えられた.裂根の発生は,いずれの地下水位制御方法でも少なかった.