2020 年 55 巻 2 号 p. 71-77
本研究では,広島県東広島市の集落営農法人が実施する防除作業を調査し,マルチコプタと従来のブームスプレーヤによる防除作業を比較して,中山間地域におけるマルチコプタの活用効果を明らかにした.具体的には,圃場面積による作業能率の変化を解明した.これとともに,マルチコプタでの資材の補給や圃場間移動などを含む作業全体の時間の計測結果から防除作業の流れ図を作成し,実際にブームスプレーヤで作業した圃場群を対象に,マルチコプタで作業した場合の時間を推定して比較した.その結果,マルチコプタによる防除ではブームスプレーヤと比較して圃場作業量が約3倍大きかった.そして,ブームスプレーヤと比べ,マルチコプタの1 haあたり圃場作業時間は圃場面積による影響が比較的小さかった.同一圃場群を対象とした比較では,マルチコプタによる作業時間はブームスプレーヤより55%短縮できると推定された.マルチコプタによる防除はブームスプレーヤに比べて単に作業能率が高いだけでなく,小面積の圃場でも作業能率の低下抑制が見込める点において,中山間地域に適していると考えられる.