野菜用の半自動移植機を改良して,カンショの種イモを押倒して植付ける機械(以後,改良機)を開発し,種イモの植付け精度や収量に及ぼす影響および作業時間を調査した.押倒し機構は,半自動移植機のくちばしが開く動きに連動して,押倒し用板が動いて種イモを押倒して,種イモを倒れた状態で植付けることを可能にした.改造する前(以後,標準機)と比較して,改良機の植付け角度は,ばらつきが少なく,水平に近い状態であった.植付け深さのばらつきも,標準機と比較して小さかった.鳥害発生率は,植付け深さが深いほど少ない傾向があった.出芽率(出芽数を植付け本数から鳥害株数を引いた値で割った割合)は,植付け深さが浅いほど多い傾向があった.種イモ肥大率は,植付け深さが深いほど減る傾向があった.面積あたり収量は,手植えと比較して標準機では2018年で低く,改良機では2018年,2019年とも同等であった.改良機の作業時間は,1.9 h/10a程度で慣行の挿苗作業と比較して,14 h/10a程度を削減できた.したがって,改良機の植付けでは,標準機よりも植付け深さが一定になったことで,鳥害が少なく出芽率が高い浅植えが可能である.また,手植えよりも種イモ肥大率が植える可能性があるが,収量は手植えと同等で植付け作業の労働時間を大幅に削減が可能となった.