農作業研究
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研究報文
水稲鉄コーティング湛水直播栽培の作業特性と機械導入条件
-ほ場規模と作業体系別での作業特性と機械利用コストの比較-
今野 真輔小野 瑞季片平 光彦
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2021 年 56 巻 2 号 p. 89-101

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抄録

本報はほ場規模と作業体系が異なる条件で,水稲鉄コーティング湛水直播栽培体系の作業特性と機械導入条件を検討した.ほ場規模別の比較では1.5 haと0.3 haの2種類のほ場規模,作業体系別の比較では直播栽培での耕起,整地,均平を含む作業体系,耕起,整地,均平を含まない作業体系,慣行移植作業体系の3種類の作業体系を設定した.機械利用コストは試験区ごとにほ場作業量と燃料消費量を測定して算出した.ほ場規模別で比較すると,ほ場準備から収穫までの作業体系全体のほ場作業量は1.5 haほ場で同作業体系の0.3 haほ場より2.3 ha h–1大きく,燃料消費熱量は2241 MJ ha–1小さかった.作業体系別では,0.3 haほ場で耕起,整地,均平を含める作業体系が耕起,整地,均平を含めない作業体系と比較して0.8 ha h–1(3934 MJ ha–1),移植作業体系と比較して0.9 ha h–1(3722 MJ ha–1)大きかった.水稲鉄コーティング直播作業体系での機械利用コストは1.5 haほ場で生産現地の農作業基準賃金と同等であった.0.3 haほ場ではトラクタ,プラウ,バーチカルハロー,ロータリを同規模の畑作ほ場との汎用利用を想定した場合に,耕起,整地,均平作業を含めない直播作業体系と移植作業体系では同農作業基準賃金体系を下回った.しかし,耕起,整地,均平作業を含める条件では耕起,整地,均平を秋期に行い,負担可能面積を拡大して対応する必要がある.

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© 2021 日本農作業学会
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