農作業研究
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熱赤外カメラを用いたサツマイモ基腐病の発病検出手法の検討
落合 将暉齊藤 晶石井 孝典
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2024 年 59 巻 1 号 p. 25-31

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抄録

本研究では熱赤外カメラを用いてサツマイモ基腐病の発病初期株の検出を試みた.まず,ポット試験を実施し,発病株の葉温上昇に及ぼす周辺環境の影響とその品種間差を調査した.その結果,基腐病発病株の病徴進行と葉温上昇との関係には品種間差があり,基腐病に弱抵抗性のコガネセンガンでは発病・病徴進行に伴い気温30℃以上の高温環境で葉温上昇が生じること,そして葉温が1.4℃以上上昇した株は発病株として判定できることが分かった.これらのポット試験で明らかとなった基礎知見を参考に現地試験を実施したところ,葉温差を活用した発病株検出の有効性が示唆された.以上のことから,生育ステージや観測環境に留意する必要はあるものの,熱赤外カメラを用いて基腐病の発病初期を検出できる可能性が示唆された.

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