農作業研究
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研究論文
水稲有機栽培における自動抑草ロボットの導入効果:除草作業の軽減と新たな作業負担
四宮 一隆山本 清仁丸居 篤飯田 俊彰
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2025 年 60 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

水稲の有機栽培の面積拡大には省力的な雑草抑制技術の導入が不可欠である.本研究では,除草作業の省力化に有効な自動抑草ロボット(以下,抑草ロボット)の導入が水稲生産全体の作業時間に与える影響を調査した.茨城県坂東市の有機栽培ほ場において,抑草ロボットの導入年(2023)と未導入年(2022)の作業時間を比較した結果,全体の延べ作業時間は最大で30%削減されることが示唆された.特に,乗用型水田除草機による除草作業は87%,人力による除草作業は79%の作業時間が削減された.ただし,潜在的に雑草発生量が多いほ場では抑草ロボットのみでの抑草は難しく,乗用型水田除草機による除草作業が2回必要となった.一方で,耕起,砕土,均平,畦塗り,畦畔修繕の作業時間は増加したが,これは,抑草ロボットの安定的な稼働に必要なほ場の均平化と水深維持のため,これらの作業を丁寧に実施した結果と推察された.また,抑草ロボット導入により水管理のほ場巡回回数は増加したが,1回あたりの作業時間が短縮されたため,延べ作業時間には差が見られなかった.これは,水稲苗の移植前の畦畔修繕作業が丁寧に実施されたことで,従来の巡回時に必要だった漏水発生の有無の確認や修繕作業が不要となり,水深の確認と給水栓の開閉作業のみが行われたためと考えられた.

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