気象は作物の生育に限らず,農作業の実施判断にも影響を及ぼす.気象と農作業の関係を解明することは,農作業効率の向上や,営農計画の作成に有効である.本研究では,標準化され,かつ電子管理された記録である生産履歴に着目し,生産履歴集計プログラムを作成することで,農作業の網羅的な解析に着手した.生産履歴集計プログラムを用いた作業履歴の解析は,手作業による集計に比べ,集計の処理時間を短縮し,解析精度を向上させた.北海道鹿追町のバレイショ生産者における4年分の生産履歴を解析した結果,心土破砕や培土などの土壌を破砕,整形する作業は先行降雨指数,殺虫剤散布や殺菌剤散布といった防除作業は降水量と先行降雨指数の両方が作業の実施判断に影響を及ぼすことが明らかになった.降水量は当日の雨のみを反映した短期的なデータであり,作業日以前の降雨の影響を十分に反映できないため,過去の降雨により引き起こされた土壌物理性の悪化などの長期的なリスク評価には,土壌水分を反映した先行降雨指数が有効だと考えられる.以上により,本研究において検討した,降雨が農作業の実施判断に及ぼす影響は,生産履歴を用いることで作業,年次に関わらず網羅的に評価できることが示された.