老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
調査報告
在宅訪問歯科診療時における口腔機能スクリーニングの試み
花岡 弘二駒形 守俊長田 純一伊藤 勢津子櫻庭 ゆかり阿部 洋一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 24 巻 3 号 p. 300-305

詳細
抄録

近年, 在宅訪問歯科診療分野において, 嚥下機能障害, 口腔機能障害への認識が高まり, よりきめ細かい対応が重要視されるようになった。 (社) 仙台歯科医師会, 歯科福祉プラザでは休日夜間救急歯科診療, 障害者歯科診療, 在宅訪問歯科診療を主体とした地域歯科医療サービスの提供を行っているが, 在宅訪問歯科診療時における患者の嚥下機能障害, 口腔機能障害を十分把握しているとはいえない。そこで今回, われわれは患者の訪問歯科診療の依頼に対し, 術者, 患者の双方の安全, 安心の確保のために, 歯科診療の現場で行える簡便で, 有用な検査法による口腔機能障害の把握が急務と考え, 聖隷式嚥下質問紙と独自に組み合わせた口腔機能スクリーニングシートを使用し, 口腔機能検査を試みたのでその概要を報告する。対象は歯科福祉プラザ, 在宅訪問歯科診療受診希望者のうち事前に承認を得られた56名 (男性24名, 女性は32名) を対象者とした。平均年齢は81.3±7.6歳だった。本研究では聖隷式嚥下質問紙と発話明瞭度, RSST, 改訂水飲みテスト, 頸部聴診の4項目の結果を示す。各種口腔機能検査では在宅訪問歯科診療受診患者のおおむね半数前後の口腔機能に何らかの問題を生じていることが示唆された。聖隷式嚥下質問紙と種々の口腔機能検査との完全な一致はみられないが, 複数の口腔機能検査を組み合わせることにより, よりスクリーニングの精度が上がるものと推察された。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top