老年歯科医学
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臨床報告
高齢糖尿病患者に対する歯科衛生士介入方法についての検討
-第1報糖尿病の病態と口腔衛生状態-
清住 沙代雨宮 智美大屋 朋子多比良 祐子高柳 奈見奥井 沙織馬場 里奈藤平 弘子相川 真澄並木 修司會田 貴久酒井 克彦山崎 喜範蔵本 千夏渡邊 裕外木 守雄武井 泉山根 源之
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2011 年 25 巻 4 号 p. 382-386

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抄録

東京歯科大学市川総合病院 (以下当院) では, 内科, 歯科·口腔外科 (以下当科), 眼科の3科が共同で, 糖尿病患者の状態把握を行う合同調査を開始した。その結果から, 65歳以上の糖尿病患者の口腔衛生状態を調査し, 歯科衛生士がどのように介入すべきか検討を行った。
対象は, 平成19年11月から平成20年10月までの1年間に, 当院内科を受診し, 当科の受診に了承された糖尿病患者142名のうち, 65歳以上の有歯顎者43名 (男性20名, 女性23名, 平均年齢69.2歳) とした。
診査内容は性別, 年齢, 糖尿病の罹患期間, 網膜症の有無, 糖尿病の治療方法, HbA1c, 歯槽骨吸収程度, 現在歯数, PCR, BOPの10項目である。網膜症は, 糖尿病合併症のうち, 早期に症状が現れるため, 眼科医と協力し診査内容に含めた。
今回, これらの診査内容から, 年齢, PCR, BOP, 現在歯数, HbA1cの5項目に着目し検討を行った。
年齢とPCR, BOP, 現在歯数の検討を行った結果, 年齢が高い程, PCRとBOPの値は高い傾向を示し, 相関性を認めた。また, 現在歯数は70~74歳で最も多く, 75歳以上では減少傾向を示した。HbA1cとPCR, BOP, 現在歯数の検討を行った結果, 相関性は認められなかった。
年齢と口腔衛生状態には相関性が認められ, 糖尿病の病態と口腔衛生状態に相関性は認められなかったことから, 糖尿病罹患の有無にかかわらず, 高齢者の増齢に伴い歯科衛生士による口腔衛生指導が重要であると考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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