老年歯科医学
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調査報告
若年層と比較した高齢者における顎骨骨折の臨床的検討
山村 哲生高久 勇一朗笠原 清弘片倉 朗高野 正行
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キーワード: 高齢者, 顎骨骨折
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2011 年 26 巻 1 号 p. 25-30

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抄録
歯科口腔外科領域において, 顎骨骨折はしばしば臨床において取り扱う疾患の一つである。一般には若年者に多いといわれているが, 高齢化と生活様式の変化から, 高齢者にも増加してくることが予想されている。そこで私たちは2005年から2009年の過去5年間で当院を受診した顎骨骨折の患者について, 受傷原因, 骨折部位, 治療法について高齢者 (65歳以上) と若年層 (65歳未満) の比較検討を行った。
対象期間中の患者は36例で, そのうち高齢者は8例であった。受傷原因は転倒による骨折が7名と大部分であった。骨折部位は8例全例に関節突起部の骨折を認め, そのうち5例が下顎前歯部の骨折を伴った2線または3線骨折であった。治療については, 非観血的処置のほかに, 骨片の偏位が大きく観血的整復固定術を行った症例もあった。また大動脈弁狭窄症に罹患していたため他院に転院となった患者も1例経験した。
今回の調査で若年層と比較し, 高齢者では顎骨骨折の特徴に大きな違いが認められた。
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© 2011 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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