抄録
予防給付における口腔機能向上加算サービスの給付実績は, 全国的に低調である。その要因を明らかにするためにわれわれは, 口腔機能向上サービスのプラン立案に関わる指定介護予防支援事業に従事している地域包括支援センター職員を対象とした実態調査を行い, 口腔機能向上サービスプラン立案を促進する影響要因について報告した。本調査は続報として阻害要因に着目した分析を行った。
郵送法で無記名による自記式質問紙調査を行い, 有効回答447名を対象に解析した結果, 口腔プラン立案を全く行っていないプランナーが多い反面, 担当案件中に口腔機能に問題があると思う案件も認識していた。口腔機能に問題があると思う件数と口腔プラン件数の差に影響する, プランナーが考える阻害要因は, 利用者·家族の認識不足がある (p<0.001), サービス提供者の認識不足がある (p=0.003), プランナーの認識不足がある (p=0.02) であり, 利用者からの希望がないは負に有意であった (p=0.01)。地域には口腔機能向上サービスが必要な対象者が潜在している可能性があり, これらの人々を適切に介護予防サービスにつなげるためには, サービスの必要性に対する認識の向上が必要であり, この啓発活動にもプランナーの役割が期待される。