老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
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ISSN-L : 0914-3866
原著
簡易な開口力測定器の開発
-第1報 : 健常者の開口力, 握力および年齢との比較-
戸原 玄和田 聡子三瓶 龍一井上 統温佐藤 光保飯田 貴俊鰕原 賀子岡田 猛司島野 嵩也石山 寿子中川 量晴植田 耕一郎
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2011 年 26 巻 2 号 p. 78-84

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抄録
超高齢社会である日本では摂食·嚥下障害への対応は急務であるため, 簡便な評価方法が過去に複数考案されてきた。ただし, いずれの評価方法も嚥下もしくは咳反射の有無や可否などを観察するものであり, 嚥下の強さの判定を目的とする簡便なテストはなかった。嚥下時に収縮する舌骨上筋のうち複数の筋肉が開口筋であることに着目して, 嚥下機能の評価を目的として開口力測定器を作成し, 基礎的なデータを採取するために平均年齢44.7±12.6歳, 64名の健常者に対して開口力の測定を行った。対象者全員の開口力の平均は約8 kg, 男性は約10 kg, 女性は約6 kgであり, 男性の筋力が有意に高いが年齢との開口力の相関は認められず, 過去に報告された結果とも同様の数値が得られた。また, 身体他部位の筋力である握力と開口力は有意に相関したことからも, 開発した筋力計を用いて有効な評価ができていると考えられた。また, 健常な60代の舌骨上筋には加齢に伴う筋力低下がみられなかった。
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© 2011 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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