2011 年 26 巻 3 号 p. 327-338
われわれは平成22年度老人保健健康増進等事業「予防給付及び介護給付における口腔機能向上サービスの推進に関する総合的研究事業」において, 口腔機能向上のプログラムに運動器の機能向上, 栄養改善の各プログラムを組み合わせ提供した。そして各プログラムの効果への影響を検証したところ, 複合プログラムは単独プログラムに比べて, 要介護度の軽度化の割合が高く, 転倒骨折, 誤嚥性肺炎等の要介護状態となるリスクを低減し, 介護予防効果が高いことが示唆された。
そこで複合プログラム提供時の口腔機能向上のアセスメント項目を集約し, サービス提供事業所の業務の効率化を図る目的で, 単独プログラムと複合プログラムに共通する特徴的な評価項目を仮説発見型の情報解析手法によって検討した。
結果, 咬合圧とオーラルディアドコキネシスの/ta/の1秒間の回数, およびRSSTの積算時間の1回目, 口腔に関する基本チェックリストと口腔関連QOL尺度が共通した評価項目として検証された。以上の結果から, 口腔機能向上プログラムの実施に際しては, これらのアセスメント項目を用いることで複合プログラムの効果を効率よく抽出可能であることが示唆された。またこれにより看護師等専門職の負担が軽減し, 効果の高い複合プログラムの普及が期待される。