老年歯科医学
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ISSN-L : 0914-3866
原著
介護予防の複合プログラムの効果を特徴づける評価項目の検討
-口腔機能向上プログラムの評価項目について-
渡邊 裕枝広 あや子伊藤 加代子岩佐 康行渡部 芳彦平野 浩彦福泉 隆喜飯田 良平戸原 玄野原 幹司大原 里子北原 稔吉田 光由柏崎 晴彦斎藤 京子菊谷 武植田 耕一郎大渕 修一田中 弥生武井 典子那須 郁夫外木 守雄山根 源之片倉 朗
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2011 年 26 巻 3 号 p. 327-338

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抄録

われわれは平成22年度老人保健健康増進等事業「予防給付及び介護給付における口腔機能向上サービスの推進に関する総合的研究事業」において, 口腔機能向上のプログラムに運動器の機能向上, 栄養改善の各プログラムを組み合わせ提供した。そして各プログラムの効果への影響を検証したところ, 複合プログラムは単独プログラムに比べて, 要介護度の軽度化の割合が高く, 転倒骨折, 誤嚥性肺炎等の要介護状態となるリスクを低減し, 介護予防効果が高いことが示唆された。
そこで複合プログラム提供時の口腔機能向上のアセスメント項目を集約し, サービス提供事業所の業務の効率化を図る目的で, 単独プログラムと複合プログラムに共通する特徴的な評価項目を仮説発見型の情報解析手法によって検討した。
結果, 咬合圧とオーラルディアドコキネシスの/ta/の1秒間の回数, およびRSSTの積算時間の1回目, 口腔に関する基本チェックリストと口腔関連QOL尺度が共通した評価項目として検証された。以上の結果から, 口腔機能向上プログラムの実施に際しては, これらのアセスメント項目を用いることで複合プログラムの効果を効率よく抽出可能であることが示唆された。またこれにより看護師等専門職の負担が軽減し, 効果の高い複合プログラムの普及が期待される。

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© 2011 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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