老年歯科医学
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原著
レビー小体型認知症患者の摂食·嚥下障害
-改訂版長谷川式簡易知能評価スケールとの関連について-
梅本 丈二坪井 義夫古谷 博和酒井 光明北嶋 哲郎喜久田 利弘
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2011 年 26 巻 3 号 p. 339-345

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抄録

レビー小体型認知症 (DLB) は, 認知症とパーキンソン症状を呈する疾患である。DLBの進行に伴い高頻度に出現する嚥下障害について, 詳細に調査した報告は少ない。そこで今回, DLBの認知機能障害と嚥下障害の関連性について検討した。対象は, 2009年7月からの3年間に嚥下機能を評価したDLB患者 (男性11名, 女性11名, 平均年齢77.9歳) とした。最大舌圧値は, 口腔内プローブを用いた簡易舌圧測定装置で測定した。また, バリウム含有ゼリー約3 gを嚥下させた嚥下造影検査 (VF) 映像から口腔通過時間を測定し, 嚥下障害スケールを用いて口腔期 (37点満点) と咽頭期 (60点満点) を評価した。認知機能は改訂長谷川式簡易知能評価スケール (HDS-R) によって評価した。舌圧を測定できた15名の平均最大舌圧値は16.1 kPaで, 22名の平均口腔期スコアは11.7点, 平均咽頭期スコアは13.4点, 平均口腔通過時間は25.6秒, HDS-Rの平均値は12.7点であった。HDS-Rと口腔期スコアの間には有意な相関関係を認めたが (R=-0.452, p=0.038), HDS-Rと咽頭期スコアの間には認めなかった (R=-0.236, p=0.279)。DLB患者は認知機能の低下と摂食·嚥下機能の低下が関連することが示唆され, 両機能を評価し食事摂取方法を調整する必要があると考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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