老年歯科医学
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調査報告
居宅介護支援事業所と歯科との連携に関する実態調査および連携の要因についての調査
伊藤 奏相田 潤若栗 真太郎野口 有紀小坂 健
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2012 年 27 巻 2 号 p. 114-120

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抄録
本研究は,要介護高齢者と歯科を結びつける重要な役割を果たす居宅介護支援事業所に注目し,居宅介護支援事業所と歯科との連携の現状を調査し,連携の有無に関連している要因を検討することを目的とした。居宅介護支援事業所を無作為に 2,820 カ所選定し,自己記入式の調査票を用い,郵送法で調査を行った。調査期間は 2010年1月〜2 月とした。全国 858 事業所から回答が得られた(回収率 30.4%)。約 60%の居宅介護支援事業所が歯科と連携していた。居宅介護支援事業所の歯科との連携の有無を目的変数,居宅介護支援事業所ごとの職員数,都道府県別の高齢化率,都道府県別人口 1 万人あたりの歯科医院数を説明変数,および地域ブロックを調整因子として行った多変量ロジスティック回帰分析より,職員数が 2 名以下の事業所に比べ,3 名ではオッズ比が1.49(95% CI:1.04〜2.11),4 名以上ではオッズ比が 2.58(95% CI:1.80〜3.68)と,職員数が多いほど,歯科との連携ありの割合が大きくなる傾向があった。都道府県の高齢化率が最も低い群に比べ,中位の群で,オッズ比が 0.48(95% CI:0.28〜0.75)と,歯科との連携の割合が少ない傾向がみられた。本研究により,高齢化率の高い都道府県にある事業所ほど,歯科との連携が少なく,職員数が多い事業所ほど歯科との連携が多いことが示唆された。
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© 2012 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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