老年歯科医学
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調査報告
高齢者病棟および高齢者施設における歯科医療職の人材配置
目黒 道生冨山 祐佳小出 康史小林 芳友小林 直樹藤原 ゆみ岩田 宏隆苅田 典子久保 克行佐藤 公麿山部 こころ山本 大介澤田 弘一高柴 正悟松尾 浩一郎
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2013 年 28 巻 2 号 p. 79-87

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抄録
近年,病院や高齢者施設における医療職種の適切な人材配置が,医療の質や安全性の向上につながることが明らかになってきた。一方,歯科医療職の人材配置による入院患者の健康状態への影響については十分に検証されていない。そこで,今回われわれは,基礎的調査として,高齢者対象の病棟および施設における職種ごとの人材配置の現状を把握し,歯科医療職と他職種との相違を比較した。岡山県および広島県内の 1 施設および 4 病院に勤務する医療職 274 名を対象に,就業時間と業務内容に関する無記名自記式アンケート調査を実施した。入院患者に関わる業務は,直接業務,書類業務,環境業務の 3 業務に分類した。また,各々の業務に関わる時間を算出し,入院患者に関わる合計時間から入院病床数 100 床あたりの医療職の人数を算出し,スタッフ/病床比と定義した。平均スタッフ/病床比は,介護職と看護師において 12.3 および 9.3 と高値を示した一方で,歯科医師と歯科衛生士では,0.3 および 0.6 と低かった。さらに,歯科衛生士では入院患者に接する直接業務時間も有意に短かった。本結果より,歯科医療職は,他職種と比して病棟への人材配置が少ないことが明らかになり,介入が不足している可能性が示唆された。口腔環境と全身疾患との関連性について多くの報告がなされるなか,病院,施設において,歯科医療職の入院患者への業務時間を増やす取り組みが必要であると考える。
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© 2013 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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