老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
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28 巻, 2 号
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原著
  • 小林 義和, 松尾 浩一郎, 渡邉 理沙, 藤井 航, 金森 大輔, 永田 千里, 角 保徳, 水谷 英樹
    2013 年28 巻2 号 p. 69-78
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
    近年,周術期口腔機能管理による全身合併症の予防効果が明らかになり,平成 24 年度から周術期口腔機能管理が保険診療報酬としても評価されるようになった。今回われわれは,周術期口腔機能管理(口腔管理)を行った患者における口腔内の特徴と,歯科的介入が肺炎予防に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,当院で平成 24 年の 1 年間に口腔管理を行った患者 196 名について後方視的に調査した。原疾患への治療法や実施した歯科処置の内容について調査し,依頼の 82% を占めた上部消化管外科,心臓血管外科・循環器内科,耳鼻咽喉科,血液内科の上位 4 科においては,診療科によって口腔内状況や歯科治療に差があるか統計的に分析した。また,上部消化管外科から口腔管理依頼のあった 35 例(口腔管理群)を対象に,口腔管理を行っていない上部消化管外科手術症例(非口腔管理群)129 名と比較して,術後肺炎発症に差があるか検討した。歯科処置に関しては,どの診療科の患者に対しても歯周処置が多く実施されていた一方で,抜歯,義歯への対応は,耳鼻科,心臓血管外科・循環器内科の患者で有意に高かった。上部消化管手術後の肺炎発症率は,非口腔管理群では 7.8%(10/129 例)であったが,口腔管理群では 5.7%(2/35 例)と統計学的に有意に低かった(p=0.04)。 以上の結果より,周術期口腔機能管理の対象者では,何らかの歯科的介入が必要であり,また,依頼元の診療科ごとに口腔内の問題や対応に特徴が現れることが示唆された。さらに,周術期口腔機能管理が全身合併症の予防に効果的であることが改めて示唆された。
調査報告
  • 目黒 道生, 冨山 祐佳, 小出 康史, 小林 芳友, 小林 直樹, 藤原 ゆみ, 岩田 宏隆, 苅田 典子, 久保 克行, 佐藤 公麿, ...
    2013 年28 巻2 号 p. 79-87
    発行日: 2013/09/30
    公開日: 2013/10/18
    ジャーナル フリー
    近年,病院や高齢者施設における医療職種の適切な人材配置が,医療の質や安全性の向上につながることが明らかになってきた。一方,歯科医療職の人材配置による入院患者の健康状態への影響については十分に検証されていない。そこで,今回われわれは,基礎的調査として,高齢者対象の病棟および施設における職種ごとの人材配置の現状を把握し,歯科医療職と他職種との相違を比較した。岡山県および広島県内の 1 施設および 4 病院に勤務する医療職 274 名を対象に,就業時間と業務内容に関する無記名自記式アンケート調査を実施した。入院患者に関わる業務は,直接業務,書類業務,環境業務の 3 業務に分類した。また,各々の業務に関わる時間を算出し,入院患者に関わる合計時間から入院病床数 100 床あたりの医療職の人数を算出し,スタッフ/病床比と定義した。平均スタッフ/病床比は,介護職と看護師において 12.3 および 9.3 と高値を示した一方で,歯科医師と歯科衛生士では,0.3 および 0.6 と低かった。さらに,歯科衛生士では入院患者に接する直接業務時間も有意に短かった。本結果より,歯科医療職は,他職種と比して病棟への人材配置が少ないことが明らかになり,介入が不足している可能性が示唆された。口腔環境と全身疾患との関連性について多くの報告がなされるなか,病院,施設において,歯科医療職の入院患者への業務時間を増やす取り組みが必要であると考える。
講演抄録集
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