抄録
意識障害のため救急搬送された76 歳男性。約2ヵ月間にわたる慢性頭痛の訴えがあり、来院時頭部CT では蝶形骨洞に骨融解を伴う炎症性変化、MRI で頭蓋内硬膜下膿瘍を認めた。髄液検査で好中球優位の細胞数上昇を認め細菌性髄膜炎と判断し抗菌薬投与を開始したが、感染が制御できずショックバイタルとなり入院翌日に死亡した。血液・髄液培養は陰性であったが、蝶形骨洞の粘膜培養からCandida Albicans が同定された。副鼻腔の炎症性変化や骨融解像を認める髄膜炎の患者では、細菌性髄膜炎に加え、真菌感染症を疑う必要がある。起因菌が同定されるまでの期間、広域抗菌薬に加え、抗真菌薬の併用を検討すべきである。