抄録
悪性リンパ腫の本邦での発症頻度は10万人に12〜15人であるとされるが,近年の高齢化により加齢に伴う免疫能の低下が原因とされる老人性〔高齢者〕Epstein-Barr virus 陽性大細胞型 B 細胞リンパ腫の発症頻度は増加傾向にある。今回,同疾患罹患患者において喉頭蓋に壊死を生じ経口摂取が困難となった症例に対し,摂食・嚥下機能評価および摂食・嚥下リハビリテーションを実施した。初診時は喉頭蓋壊死のため喉頭の閉鎖が得られず,唾液誤嚥を生じ経口摂取困難な状態であったが,間接訓練を継続的に行い,定期的な嚥下機能評価の結果をもとに直接訓練を並行して行った。最終的には代償法を利用しながらペースト食の摂取が可能となった。 老人性〔高齢者〕Epstein-Barr virus 陽性大細胞型 B 細胞リンパ腫の患者において,咽頭・喉頭への腫瘍の浸潤により唾液誤嚥を生じた嚥下障害の難症例においても,適切な評価と訓練を行うことは,経口摂取の継続と患者の QOL の改善に寄与できると考える。