老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
調査報告
胃瘻の造設および転帰に関する実態調査
奥山 秀樹三上 隆浩木村 年秀占部 秀徳高橋 徳昭岡林 志伸平野 浩彦菊谷 武大野 慎也若狭 宏嗣合羅 佳奈子熊倉 彩乃石山 寿子植田 耕一郎
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 28 巻 4 号 p. 352-360

詳細
抄録
摂食機能障害において,全国で 26 万人と推定されている胃瘻造設者は最近の 10 年間に急速に増加してきた。胃瘻については,その有効性,トラブル,および予後等に類する報告が今までにされているが,対象者は,胃瘻を管理する医療施設や高齢者施設に軸足が置かれており,実際に胃瘻を造設した術者や,患者側の視点での調査はほとんど行われていない。 そこで今回,医療施設,高齢者施設に加えて,胃瘻を造設した医療施設と在宅胃瘻管理者(家族)とを対象にして,胃瘻に関する実態を調査し,課題の抽出,胃瘻を有効な手段とするための要因等について検討を行った。調査対象は国民健康保険診療協議会(国診協)の直診施設(国保直診施設)全数の 833 件,国保直診の併設および関連介護保険施設(介護保険施設)の 138 件,および国保直診票の対象施設において入院中もしくは在宅療養中の胃瘻造設者の家族 485 件である。 その結果,国保直診施設において胃瘻造設術件数は「減っている」が 53.1%であり,過去 3 年間に減少傾向にあるものの,介護保険施設では「減っている」が 20.3%であり,胃瘻造設を実施する側と,それを受け入れる側とに差を生じた。患者側の胃瘻に対する満足度は,造設前に胃瘻の長所,短所の説明があり,それも医師以外の職種からも説明を受け,自宅療養であること,また結果的に造設後 3 年以上経過しているといったことが,満足する要因になっていた。
著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top