老年歯科医学
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活動報告
摂食・嚥下リハビリテーションの地域医療連携モデル
―在宅での VE を用いた摂食・嚥下障害の評価と胃エックス線装置のVF 装置への応用―
齋藤 貴之原 豪志山崎 康弘小林 健一郎繁里 有希若狭 宏嗣吉岡 麻耶吉田 真由渡邉 真央大屋 喜章櫻井 薫戸原 玄
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2014 年 29 巻 1 号 p. 42-46

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抄録

歯科医療従事者が在宅や高齢者施設において摂食・嚥下リハビリテーションの診療に携わる機会が増え,多職種間の連携,特に医科・歯科連携は不可欠となってきている。最近では胃瘻患者の定期的なスクリーニングテストの必要性が社会的にも取沙汰され,ますます連携の必要性が高まっている。 そこでわれわれは平成 25 年 11 月に提携医科クリニックと新小岩摂食・嚥下リハビリテーションセンターを設立し,協働で摂食・嚥下リハビリテーションの治療にあたることとした。現在設立から 3 カ月が経過し患者情報の共有,全身状態の管理や脱水,栄養の管理等で一定の成果がみられている。われわれの取り組みは,多くの医療機関に設置されている胃の造影用エックス線装置を VF 装置として応用したことや,後方支援機関の大学病院と連携して放射線技師等のスタッフに対して教育・研修を行い,摂食・嚥下リハビリテーションに対応できる人材を育成したことなど,既存の社会資源を活用したことが大きな特徴である。 このように従来の枠組みを少し変えるだけで摂食・嚥下障害の治療拠点を各地域に容易に設置できる可能性がある。今後各地域でこのような取り組みが実施されれば,摂食・嚥下障害を有する在宅療養者の定期的なスクリーニングテストと評価が可能になり,本来ある自身の摂食・嚥下機能を生かして,安心して口から食べることに寄与できる。

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© 2014 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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