老年歯科医学
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原著
全国の介護施設における口腔ケアに関する看護管理的取り組みの実態調査
村松 真澄守屋 信吾
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2014 年 29 巻 2 号 p. 66-76

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抄録

全国の介護施設(介護老人福祉施設,介護老人保健施設,介護療養型医療施設)の口腔ケアに関する看護管理的な取り組みの実態を明らかにするために,看護管理者を対象に無記名自記式質問紙調査を郵送法で実施した。質問紙は 2,947 施設に郵送し,質問紙の回収施設は 800 施設,回収率 27.1%であった。有効回答と判断された 740 部 (25.1%)を分析対象とした。 「口腔ケアは,ヘンダーソンの『看護の基本となるもの』によって用いられる看護の質の指標の 1 つとなっていますか」に「はい」と回答した施設は 80.4%であったこと,介護施設ではケアの担い手である看護師や看護助手・介護福祉士・介護士などの教育が 十分に行われていないこと,口腔アセスメント表を使用している施設は 2 割に満たなく,口腔ケアの看護手順があるという施設が半数に満たないこと,などが明らかとなった。歯科との連携があると回答した施設が 9 割を超えていたが,口腔機能維持管理体制加算を算定している施設は 40.3%,口腔機能維持管理加算を算定している施設は 15.7 %であった。 また,介護施設のうち,介護療養型医療施設では看護師が多く配置されているので看護師が口腔ケアの担い手になり,口腔ケアの標準的看護手順がある割合が高かった。今後の口腔ケアに関する看護管理的取り組みの課題は,入居者の口腔衛生状態を維持向上させるためには,看護,介護スタッフへの教育体制の整備および口腔アセスメントと口腔ケアの看護手順の整備,そして歯科との連携体制を整備することである。

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© 2014 一般社団法人 日本老年歯科医学会
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